2015年11月24日火曜日

住民出資の合同会社「いしはらの里」に聞いた話

2年ほど前でしょうか。
地方の中山間地域を中心に、ガソリンスタンドの閉鎖問題が急激に表面化した時期がありました。

背景には、GSが立地している地域の人口減少によるガソリン需要低下、高齢化による需要低下など市場の縮小に加えて、法律的に地下タンクの改修義務が生じたために、100万単位の改修コストをかけてまで、今後縮小が見えているGS維持には向かえない、というものがありました。

ガソリン難民なんていう言葉も生まれていたかと記憶しています。

そのような中、2年前に岡山県阿波地域では、GS閉鎖にともない、 住民組織による経営の引き継ぎが検討されていて、その一環として先行して取り組んでいた高知県の大宮産業やいしはらの里などにヒアリング調査に行ったことがありました。

GSヒアリング調査


で、このたび、11月20日に、高知県土佐町にある再度「いしはらの里」にヒアリング調査に行ってきました。

詳細はここでは述べませんが、いしはらの里関係者の方々の話を聞いた印象として、大きな変化を感じたのは、以前よりも表情が明るく、将来の展望なども熱意を持って描いていらっしゃった点です。
2年前の調査時点では、いしはらの里はまだGSを引き継いで数ヶ月、といった状況だったように思いますが、その時にはまだ見通しが立ってなかったのでしょう。
やらなければいけないけど、不安のほうが大きくて夢を描く感じではなかったような印象でした。

それが、今回伺って話を聞いたところでは、GS自体はやはり大変でも、他の同時展開されている事業の見通しがそこそこ明るく、表情が明るかったのは本当に印象的でした。


活動の源泉・ワークショップの記録


閉校になった校舎を改装した事務所を案内してもらい、今に至る原点であるワークショップの記録も見せてもらいました。

ワークショップでは、流れをコントロールしないと発言が多すぎて大変という話も聞かせてもらいましたが、その辺は、県民気質の違いというものも大きな違いのように感じます。

島根県周辺だと、特定のテーマに基づき、それに興味のある人だけでならワークショップも比較的盛り上がりやすいですが、そうではない人もいると意見を引き出すのにまず頑張りが必要になりますので、その辺は違うかなぁ。

また、事業を展開するにしても、やはりコミュニティをベースにした地域のまちづくり会社的な存在の場合、初期投資をいかに抑えるか、というのはその後の経営継続性を担保する上で、また中心的な役割を果たす人たちの精神衛生上も非常に重要であると思います。


余談


最後に、高知に来たから、と「ひばり食堂」で食べようという話になり、少し並んでいたけど、これは間に合わんぞ、と泣く泣く諦めまして、いしはらの里の近くの直売所に併設されているcafeでいただいた美味しいパンセット。

これ、はっきり言ってボリュームすごいです。時間がなくてパンは1個半はテイクアウトしました。
今度機会があれば、ひばり食堂に行ってみたいところです。

2015年11月4日水曜日

邇摩高校『銀の哲学』 小川商店・小川知興さんの場合

以前、「邇摩高校の『銀の哲学』授業 ~地域を知る~」で、一度書きました邇摩高校の「銀の哲学」という授業。

前回に引き続いて、今回も温泉津在住の、小川商店代表取締役社長に就任されたばかりの小川知興さんを講師としました。

流れも前回を踏襲する形で、第1部を講師による講演、第2部を講師をまじえて生徒、先生に僕も参加する形でのクロストーク。



今日も楽しい話を聞くことができましたが、高校生のみんなはどう感じたのかな?
途中、少し自分の興味に引っ張りすぎた点があったので、そこが不安です。


自分個人としては、とても興味深い話や、経歴を聞いて「だから今こうされてるのか」と納得感みたいなものもあったり。


生徒数が多いわけではないけど、地域で働くということの意味を知ったり、どんな仕事があるのかを知ることは大きな意味があると思います。
自分自身、高校生の頃は社会に対する興味関心は薄く、どんな仕事があるのかも知らないし、調べることもほとんどなかったと記憶しています。
当時だと、心理学ブームだったので、大学を選ぶ際に「心理学」が学べるところを探して、その先に臨床心理士というのがあるんだなー、くらいでした。

そこから社会学を学び、今の仕事を選択することになるとは、当時は夢にも思わなかったです。

だから、こういう仕事があるということを知るのは意味があると思います。
が、今回2名を学校側に提案した理由は、温泉津という小さな町にこれだけの人がいて、一所懸命、楽しみながら仕事を、地域のことをしている”人”がいる、ということを知ってもらいたかったから。

なので、僕も適当にチョイスしたのではなく、過去の自分に聞かせたい、知っておいてほしい大人の姿を示している2人を推薦したわけです。
他にも数名推薦したのですが、授業のコマ数の関係でしょうか、今年度は前回の泰三さんと今回の小川さんの2人、ということになりそうです。

邇摩高校では、こうして地域で働く、暮らすということに触れる機会を作っていて、自分が高校の頃はなかったなぁとつくづく感じます。


それにしても、今日の話も刺激的だった。

  • 失敗を恐れず挑戦すること
  • 大事なことは説得力
  • 個の時代、地方の時代
また話を聞きたい。