2014年8月29日金曜日

アイスバケツ・チャレンジに思う

今週に入って急に目にするようになった「ALSアイスバケツ・チャレンジ」は、日本国内のウェブ上では賛否両論巻き起こっているようです。

これは指名された人が氷水をかぶるか、寄付するかという2択を選び、楽しく寄付するまたはALSを知ってもらおうという取り組みで、資金調達(ファンドレイジング)の一種です。


ファンドレイジングの一種、ということで准ファンドレイザーの端くれである自分としては、これをどう見ているかということを記しておく必要があるなーと思いながら悩んでいました。

結論からいうと、今回の「アイスバケツ・チャレンジ」は、個人的には好きなやり方ではないけど、みごとなアイディアだと思います。


まず、国内ファンドレイジング業界の主要な人がどんな反応をしているかを抑えておきましょう。

最初はジャスト・ギビング・ジャパン代表である佐藤大吾さんのコメント。

「正直、悔しい」。国内最大の寄付サイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」を運営する佐藤大吾代表はこう漏らした。
<中略>
「このキャンペーンは、ALS以外の社会問題にも適用できるし、ALSを知らなかった人でも簡単に参加することができる。ファンドレイジングのプロとして、私たちはなぜこのようなアイデアを思いつけなかったのか」(佐藤代表)
 3週間で42億円集めた「アイスバケツ」、日本の寄付文化も変えるか(オルタナ)


この「悔しい」という感覚は、共感できます。
こういうアイディアを思いつける人を目にすると「あー、なんでこういうアイディア思いつけるんだろう。なんで実行できるんだろう」と悔しさや自分の力不足を痛感します。


次は日本ファンドレイジング協会の鵜尾さん。
日本に「寄付文化」を根付かせようと活動する日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆代表理事は「『ファンドレイジング』(資金集め)は、共感の輪を広げることが目的。その結果、寄付につながる。集まった金額だけでは成果を評価できない」と話す。
「日本では『お金を下さい』とは言いづらい。それを『氷水』を使って、楽しくチャリティーにつなげたことに大きな意味がある。一度、体験することで、また次もやってみたいと思う人が出てくるはず」(鵜尾代表理事)
 引用先は同じです。

鵜尾さんが指摘しているのは、「アイスバケツ・チャレンジ」で集まった寄付金額だけに注目するのでは視野が狭く、今回の取り組みを通じていろんな人が参加したこと、その中のわずかでもALSを調べた人がいることなども含めて評価すべきだ、ということだろうと思います。


こうしたことを踏まえてワタシの意見は、このチャリティーのアイディアはみごとだと思います。
批判も多数ありますし、疑問がないわけじゃない。ですが、これだけ多くの人が参加したこと、寄付金額も集まったこと、そして何より議論が巻き起こったこと自体も評価に値します。
日本には寄付文化はない、と言われますがそうではない、というのは鵜尾さんたちの話を聞けばわかります。ただ、今回のような楽しくイベント的なチャリティーに対する態度はまだ成熟していないような気はしますので、こういうイベントが日本に馴染むのか馴染まないのかも含めて議論していくことで日本なりの新たな寄付文化の風土ができていくと思いますし、その過程を進み始めたところでしょう。

今回これだけ爆発的に広がった大きな要因は、やはりセレブ層・芸能人などが関心を持って参加したことにあるでしょう。何だかんだと言っても、露出の多い彼らの行動は多くの人に影響を与えるので、彼らの行動を通じて「楽しく寄付する」「楽しいチャリティー」が広まればいいなと思います。

ワタシのフィールドは、今目の前で困っている人たちを何とかしようというフィールドではなく、このまま進むと将来困る人が増えるから何とかしよう、というフィールドなので立場はかなり違いますが、今回のような「楽しくみんなが参加したくなる」仕掛けの重要性は変わりません。


結局、最初から大勢を巻き込んでやろうと思っていたら、これは動かなかったアイディアかもしれません。数人の仲間内でとりあえず始めたところの行動力が結果としてこれだけ大きなムーブメントにつながったということを考えると、ワタシも何かアイディアが思い浮かんだ時には感性を共有できる少数の仲間内で走り始めることを考えたいなと思います。


それにしても、久しぶりにファンドレイジングについて書いた気がします。。

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